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アルジェリアの漁業振興(その2)

2006年8月31日
(株)ジェイエスエム
吉田光彦

 去る6月20日シドアリ・ケトランジ駐日アルジェリア大使ご臨席の下、アルジェ漁業養殖技術学院向け訓練機材整備計画に対する無償資金協力の調印式が東京にて行われました。調印式に出席されたメンバーはブーダムウス次官を代表とするアルジェリア漁業水産資源省デレゲーション、石本社長を代表とするコンサルタントのオーバーシーズ・アグロフィッシャリーズコンサルタンツ株式会社デレゲーション、弊社です。前回の同タイトルの寄稿からちょうど5年の年月を費やした事になります。

この5年間アルジェリアの漁業分野において大きな変化が見られました。

1. 「国家漁業・養殖開発計画」‐漁業分野への国家予算の積極投資

漁業資源省主導の下、戦略的に魚の消費量を増やすため2001年の年間漁獲量13万トンからアルジェリア漁業可能水域において漁獲可能量といわれている28万トンに漁獲量を上げる計画と漁業従事者雇用創出を目標として「国家漁業・養殖開発計画(2003-07年)」を推進中です。これはアルジェリアにて魚の需要に対して明らかに供給が少ないという問題を解決するために立案されたもので、この計画に基づき2005年までにすでに国家予算95億DA(約150億円)が投入され、さらに2005年以降120億DA(約190億円)が投入される予定です。この積極投資により漁業分野における器であるハード分野の漁港整備、漁船の増強は行われつつある状況ですが、中身のソフト分野である漁業従事者養成のための訓練機関の不備は否めない状況で、このソフト分野の補強のために立案されたのが冒頭で述べたアルジェ漁業養殖技術学院向け訓練機材整備計画です。これはアルジェの漁業訓練機関であるアルジェ漁業養殖技術学院におけるエンジン、発電、冷凍、基礎電気・電子等の教育のための機材を供給するという日本としてアルジェリア向け初めての水産無償案件という事になります。これらアルジェリア当局の努力により5年前の年間一人当たりの魚の消費量3.2KGも2004年には5.12KGとなり、WHOの推薦値でもある2007年の目標値6.2KGを達成する事は確実と判断します。

2. 日本における研修員受入れ:

前回の寄稿で日本における漁業分野訓練の重要性を述べましたが、平成16年度はJICAにて漁業分野においてアルジェリア人3名がそれぞれのコースにて3−4ヶ月の訓練を受けた模様で、日本からアルジェリアへの漁業技術移転が行われる事が現実となり嬉しい限りです。

一方、アルジェ漁業養殖技術学院向け実地訓練用機材として訓練船の供与も水産無償第2弾として決定されています。今回の訓練機材の供給及びフォローアップを確実に行うとともに、訓練船供給のお手伝いをしてトータルアルジェリア漁業の発展を願っているところです。

今回、アルジェリア漁業水産資源省のデレゲーションには日本の漁業施設を訪問して頂き、日本の漁業現場を実感して頂く機会にも恵まれました。また、シドアリ・ケトランジ駐日アルジェリア大使からは、今回が初めての水産無償案件という事もあり漁業分野における日本からの更なる技術協力の期待の表明も受けました。

最後になりますが、この5年間の変化として忘れる事ができないのが、日本とアルジェリアの架け橋として多大なご尽力をされた駐アルジェリア渡辺伸元日本大使が逝去された事です。当初、漁業分野においても色々とご教授頂いた事が昨日の事の様に思い出されます。今回の調印式には渡辺夫人にもご出席して頂き感慨を新たにした次第です。渡辺氏のためにもアルジェリア漁業発展のため最後まで責任を持ちフォローさせて頂く所存です。


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