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第1回アルジェリア・日本学術セミナーをホウアリ・ブーメディエン科学技術大学で開催

(文責:筑波大学国際部 森尾貴広・力丸みほ)

 2010年11月8日(月)から2日間にわたってアルジェリア民主人民共和国アルジェ市のホウアリ・ブーメディエン科学技術大学(USTHB)において、第1回アルジェリア・日本学術セミナー(1st Algeria-Japan Academic Conference: AJAC、主催:USTHB・筑波大学、協力:ブザレア大学・ブザレア高等師範学校、後援:アルジェリア民主人民共和国高等教育科学研究省・在アルジェリア日本国大使館・在日アルジェリア民主人民共和国大使館)が開催されました。本セミナーは、「アルジェリア・日本の学術交流の推進を目指して」をテーマに、アルジェリアと日本の研究者がお互いの興味・関心・研究内容について情報を共有し、今後の研究交流のきっかけとなることを目的としています。アルジェリアからは100名近い参加者があり、口頭発表数は46題、日本からは24名の参加者を集め、20題の口頭発表がありました。

 8日午前の開会式は、150名あまりが参加する中、神谷武在アルジェリア日本大使が、AJACおよび日本-アルジェリア間学術交流への期待を表明されて幕を開けました。次いで塩尻和子筑波大学副学長が挨拶、AJACが本年5月にチュニジアで開催された日本・北アフリカ学長会議での共同宣言の具体化の最初の例であると述べました。またNaceur Boucherit外務省アジアオセアニア総局長兼大使が、日本との経済協力に加えて科学技術・学術面でのパートナーシップも確立することへの期待を、Benali Benzaghou USTHB学長が、AJACを機に日本の大学と幅広く交流を展開すること、特に博士課程の研究指導が出来る教員の養成についての期待を、それぞれ表明しました。

 コーヒーブレイク後の全体セミナーにおいては、礒田博子筑波大教授が「乾燥地生物資源の有効活用」について、Leila Kadik-Achoubi, USTHB教授が「アルジェリア山岳地帯における植生」について、小島紀徳成蹊大教授が「CO2削減の観点からの砂漠緑化」について、Djillai Benouar, USTHB教授が「アルジェリアにおける地震研究」について、山中浩明東京工業大学准教授が「地震学分野での国際研究協力」について、Yasmina Chaid Saoudi, University of Alger教授が「Dellysのカスバにおける考古学研究と保存活動」について、青柳悦子筑波大教授が「日本におけるアルジェリアのイメージと文学受容」について講演を行いました。

 翌9日はバイオテクノロジー、環境、情報・マネージメント科学、地震学、人文社会科学の5つの分科会に現地の学生も多数参加し、各分野で活発な議論が交わされ、予定時間をオーバーして討論を続ける分科会も出るほどの活況を呈しました。

 夕刻からの閉会式では、AJAC実行委員会副委員長の安部征雄筑波大学海外大学共同利用事務所長とMahrez Drir USTHB副学長の両氏が、今後もAJACを定期的に開催し、同様の学術セミナーをマグレブ諸国に広げていきたいとの意欲を示しました。また、アルジェリアが設定している博士後期課程学生のための短期留学奨学金制度や、国際共同研究のための研究助成金の制度があるので、日本との学術交流に大いに活用したいとも述べ、これをもって閉会挨拶としました。

今回のセミナーを機に、日本とアルジェリアの研究者間での、具体的な共同研究に関する議論や現地調査が数件行われることになりました。また、地元TV・ラジオ局、新聞社からの取材も来ており、アルジェリア側のAJACに対する注目度の高さがうかがわれました。AJACがアルジェリアと日本との研究者間交流のきっかけとなり、今後の定期開催が実現することを願ってやみません。